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「あぁもうこんな時間だ!学校に遅れてしまう!」
わざとらしくカナリアは叫んだ。
「早く行かなければ!アスール、キリア!行くぞ!」
「あぁ。」
「ハイハイ、急ぐと転ぶよ~?」
アスールとキリアも席を立ち、食堂を出る。
「「では行ってきます、父上。」」
「行って参ります、国王様。」
「うむ!行って来い!」
国王は手を振って三人を送り出した。
食堂に残った国王は扉が閉まると同時に呟いた。
「身分など・・・・・・気にする必要は無いのだ、アスール。」
ひどく悲しそうな顔をし、国王はまるで空を見るかのように、天井を見上げた。
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城から学校へは近いので三人が歩いて通っていると、カナリアがブツブツ言いながら歩いていた。
(まったく!何なのだ父上は!アスール本人がいる前であんな話を・・・・・・)
「カナ、何か言ったか?」
「ひゃっ!いいいいいや何でもない!」
ブンブン首を振りながら否定する。
「そうか?ならいいんだが。」
(ふぅ。まさか声に出ていたとは。)
カナリアが安心していると、後ろからキリアが話しかけた。
「グズグズしてたら他の女にアスール取られちゃうよ~?」
「うわぁ!う、後ろから音も無く話しかけるな!」
「ハハハ、ごめんごめん。でも僕の言った通りにならない内に覚悟決めた方がいいよ?」
珍しくキリアが真顔になって言う。
「そんな事にはさせない、絶対にな。」
カナリアも真剣になって言う。
「そう、ならいいんだ。・・・・・・さぁ学校行こう!お~いアスール、行くよ~!」
「わかった。」
アスールが二人に追いつくと、三人で並んで歩いた。
(覚悟、しておかないと。)
カナリアは決意を新たに気を引き締めるのだった。
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