第一章 破壊された平和

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未だに呼び鈴を鳴らすほたる。しかもまだ鳴り止まない内にまた鳴らすもんだから、迷惑甚だしい。 拓斗「新手の嫌がらせかよ…」 その内ピンポンノイローゼにでもなりそうだ。後で配線を切っとくのも考えておかねば。 がちゃり、と玄関のドアを開けると同時に、ようやくピンポン地獄も収まった。 ほたる「ほら、早く行かないと遅刻しちゃうでしょ!早くしなさいよ!」 拓斗「まだ八時じゃんか。三十分あれば間に合うって」 なんだか目を合わせ辛い。朝っぱらから変な夢でも見たせいか。 ほたるが……俺のことを……。 ほたる「……どうしたの?」 拓斗「みゃんでもない」 驚いて声がひっくり返った。ベタな展開というかなんというか。当然ほたるも疑いの視線を向ける。 ほたる「何かあったの?病院行く?脳外科?」 拓斗「別に脳疾患は無いぞ」 ほたる「じゃあ精神科?」 拓斗「はいはい。とっとと行かないと遅刻しちゃうんじゃないのか?」 ほたる「ふうん?それがさっきまで渋ってた人の態度かしら?」 今度からもうちょっと上手いかわし方を学んでおこう。こんな返答されて気にならない人間の方が少ないだろうに。
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