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君が僕の元を去ると決めた日、僕に説得する術はなかった。君の考えは君のものであり、君の行動も君のものだ。僕に決定権はない。
僕にできることは君との幸せだった日々を思い返すことと君を動けない存在にしてしまうこと。それくらいだった。
だから後悔はしていない。僕は永遠に君を想い続けるだろう。そこに悲しみはあるだろう。そこに苦しみはあるだろう。それでもしかたない。君の美しい姿が落書きに変貌するのを僕は手をこまねいてただ眺めるしかない。
ホテルネグレスコ7階のこのバルコニーから。
(了)
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