第3話 別れ

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無言で亜津紗は頷く。 やっぱり亜津紗は女の子なのだ。 辛いことを悲しいことを1人で耐えれるのは辛すぎる。 オレが支えなければ。 傷つく亜津紗を! 次の日、またイジメが始まった。 中傷する言葉が飛び交う。 オレが立ち上がろうとすると亜津紗がいつものアクションを起こした。 「どうして・・・。」 もう辛い思いはしなくていい! オレは派手な音を立てようとする。 よりいっそう、亜津紗の謝る声が大きくなる。 オレは立ち上がることが出来なかった。 昼休み、教室に亜津紗がいないことを確認し、オレは屋上へ向かった。 屋上には亜津紗がいた。 オレの姿に気づき、亜津紗はいつもの笑顔で手を振る。 オレは早足で近づき、眉間に眉を寄せる。 その表情の意味に気づいたのか亜津紗は立ち上がり、オレの手を握る。 「ごめんね、でも大丈夫。」 「大丈夫じゃないだろ!?」 亜津紗の肩が跳ねる。 オレはその肩に手を置く。 「お前は絶対守る!オレを頼れ!」 「修二・・・。」 ギュッと強く抱きしめる。 遠慮がちに背中に手が回される。 「ありがとう、修二。」 「亜津紗・・・。」 「でも大丈夫。修二まで巻き込むわけにはいかない。」 亜津紗がオレから離れる。 ふわりと亜津紗が笑った。 「もう関わらないで。」 「亜津紗!」 「修二にはたくさん勇気を貰ったから。」 亜津紗が背を向け走り出す。 オレは慌てて追いかける。 だが、屋上を出て少しして見失い、その場に座り込む。 「亜津紗・・・。」 オレの頬を涙が伝った。
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