第1話 君

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「ブス!ノロマ!」 「ホント、イライラする!」 「学校に来んなよ!」 始まった・・・。 このクラスの恒例、イジメ。 女子3人グループを筆頭にそれは始まる。 イジメられているのは中藤亜津紗(なかとう あづさ)。 背中の真ん中までの黒髪に黒の瞳。 ブスと言われているがかわいい部類に入るとオレは思う。 イジメの主犯である3人はそれを妬んでやっている。 「バカらしい・・・。」 オレはイジメに加わる気も止める気もない。 正直、こういう面倒くさいことには関わりたくないのが本音だ。 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・!」 繰り返される謝罪の言葉。 中藤は涙を流し、額を床に擦り付ける勢いで謝っている。 主犯3人はそれを見て笑った。 オレは席を立つ。 この教室の空気が苦手だったから。 「最悪・・・。」 ホント、最悪なクラスになったもんだ。 毎日毎日、よく飽きないと思う。 屋上に上がり、寝転がれば真っ青な空が広がっていた。 今日は雲一つない快晴。 教室の雰囲気とは正反対の清々しさだ。 柔らかな風が頬を撫でる。 「おぅ、修二。サボリか?」 「あぁ。」 現れたのはオレの親友(悪友とも言う)、光原晃司(みつはら こうじ)。 クラスは別だが、小学校からの付き合いで仲がいい。 所詮、幼なじみってやつだ。 ちなみにオレは倉本修二(くらもと しゅうじ)。 ルックスは上の下だと自称している。
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