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「お前のクラス、荒れてるよな。」
「あぁ、最悪だよ。」
「イジメられてる子、中藤亜津紗だっけ?」
「そう。」
「あの子、かわいいよな。」
晃司の言葉にオレは同意する。
少し内気な性格だが、それは守ってやりたいと思えるほどで対して気にならない。
「付き合いたいけど目つけられるよな。」
「だろうな。2学年全体から無視は確実。」
「お前もかよ。」
「面倒なことには関わらない!」
「ひでぇ!」
笑い出すオレたち。
柔らかな5月の風が再び吹いた。
「中藤さ~ん、これよろしくぅ。」
「これも~。」
次々と中藤の机に積み上げられていくノート。
次は移動教室で理科室に移動だ。
中藤は荷物持ち。
これがこのクラスの女子の決まりだ。
「うわっ、可哀想!」
「女子~、ひどくねぇ?」
「うるさいな、いいの!」
ケラケラと笑いながら男子と女子は話す。
心のない同情・・・それは一番嫌なのではないか。
オレはノートを抱えた中藤を見ながら思った。
「オレも同じか。」
小さく呟き、オレは席を立つ。
中藤は既に廊下に出て理科室へと歩き出している。
オレはそんな中藤の後ろを歩きながら今日の弁当の中身は何だろう、とどうでもいいようなことを考えていた。
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