16人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「風邪引くぞ。」
オレはたまたまあったハンカチを中藤に渡す。
中藤は少し迷った末、ハンカチを受け取った。
「ありがとう、倉本くん。」
「あぁ。」
屋上にある机に制服を広げる中藤。
オレはそれを寝転がって見ていた。
制服を広げ終わり、中藤は少し離れたところに座る。
「倉本くん、屋上が好きなの?」
「あぁ。一番落ち着く。」
「そっか・・・。」
「なぁ、中藤。」
「何?」
「嫌になんねぇの?学校。」
オレの質問に少し間を置いて中藤は笑顔を浮かべた。
優しく綺麗な笑顔。
オレの胸が高鳴る。
「大丈夫だよ。」
ただそれだけ言って、中藤は空を見上げた。
オレも空を見上げる。
ゆったりとした時間が流れていく。
オレたちは他愛のない話で盛り上がり、笑いあった。
そして、呼び捨てで互いの名前を呼び合うほどに仲良くなった。
最初のコメントを投稿しよう!