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昼休み終了を告げるチャイムが鳴った。
「ありがとう、修二。」
「あぁ。後で保健室行こうぜ?」
「ううん、大丈夫。」
亜津紗は人目のあるところでオレと関わるのを嫌がる。
オレに迷惑をかけたくない。
そう言って人気のないところで逢う。
恋人たちの逢い引きのように。
まぁ、オレたちは恋人じゃないが。
「だいぶ、楽になったし。」
「亜津紗・・・。」
「大丈夫!」
亜津紗は弁当箱を持ち、立ち上がる。
オレは座ったまま、亜津紗を見上げる。
「修二に迷惑かけっぱなしはよくないよ。」
「オレは・・・!」
迷惑なんて思ってない、そう言おうとして言葉に詰まった。
亜津紗の黒の瞳がやけに真っ直ぐで強い光を宿していたから。
「このイジメはあたしの戦いだから。」
「戦い?」
「そう。あたしは弱いけど、いつも謝ってばかりだけど、戦ってるんだよ。」
「何と?」
「自分自身・・・かな?」
堂々とそう言い、亜津紗はかわいらしく笑った。
すごい、とただ単純にそう思った。
同い年のはずの彼女がとても大人に見えた。
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