幼少期

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それでも、それは異様な光景だった。 その様子に恐怖を覚えた子どもは涙腺が凍ったように涙を流すことなく、ただただ頷くだけだった。 そう、あの日を境にさやか先生の様子は変わってしまった。 一人でボーッとしているか、ガタガタと貧乏揺すりを繰り返すか、気持ち悪いぐらいに笑顔を振り撒くか。 そういえば、先生最近、黒板に書く文字が汚いな。 ハサミの使い方も僕らと大して変わらないな。 前はあんなに綺麗なお手本になる文字だったのに。 前はあんなに真っ直ぐ綺麗に紙を切っていたのに。 そういえばと言えばそういえば…… 先生の歯、汚いな。
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