幼少期

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まだ幼稚園に通っている頃、僕の通う年長組に新しい先生が赴任してきた。 黒く艶やかな髪をゴムを使って後ろで結び、澄んだ大きな目は、今でもあの先生を思い出す時、一番に浮かんでくる。 新任だった。 これはあとから親に聞いた話だが、その先生は大学を卒業したばかりで、初めて就職したのが僕の幼稚園だったらしい。 要は社会の汚れを知らないピカピカの社会人。 夢や希望をもって僕の幼稚園にやってきたのだろう。 僕たちには常に笑顔を目一杯振りまいていた。 それが 宮城さやか先生だった。
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