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残念ながら、オレの決心はそう長く続かなかった。
遺跡から脱出する道程で、先に立って歩き、指示を出すクレイを無視することは不可能だった。
それに奴の指示は悔しいくらい的確で安心できるものだ。
「前の床、気をつけろ……窪みがある。足をとられるなよ」
「……」
「ちょっと止まれ……部屋の向こうで変な音がする。様子を見てくるからここで待ってろ」
「……」
いつも通りのクレイにだんだん申し訳なくなって……。
「クレイ!この扉、他のと色が違う。おかしくないか?」
「お、そうだな。よく気がついたな、えらいぞ」
「ま、まあな……」
褒められると、なんとなく気恥ずかしい。
結局、すぐに奇跡の前と変わらないコンビネーションに戻った。
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