【プロローグ】

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ふと思うことがある。 人間はアナログな生き物だ。 だから、人は自分のことを誰かに100%理解してもらうのは不可能。 その逆も言えて、人は誰かのことを自分が100%理解してあげることも不可能。 けれど、100%は無理でも、アナログな人間なりに人を理解しようとする。 その理解のために、今自分が考えていることを相手に伝えようとする。 もちろん相手に考えを伝えるには、言葉や感情といった手段を用いる。 こうやってアナログな手段を用いて、人間はお互いに理解を深めていく。 これが俗に言うコミュニケーションだ。 では、もしも言葉や感情といったアナログな手段を用いずに、コミュニケーションが取れたらどうだろうか? パソコンや携帯の様に、頭の情報をデータとしてやり取りできたら……。 それは、デジタルな人間と言えるだろう。 しかし、デジタル社会と言われる一方で、人間自体は未だにアナログだ。 だがもしも、アナログな人間がデジタルな人間に進化したらどうだろうか? ひょっとしたら、近い将来そんなことが現実になってるのかも知れない。 そこでは、デジタルな人間は言葉を交わすことなく、意思疎通ができる。それも100%の理解を持って。 これはコミュニケーションの革命と呼ばれるだろう。 デジタルな人間には無駄がない。 しかしながら……! どんなにデジタルな人間が素晴らしいとしても、アナログだからこそ人間ってヤツはおもしろいんじゃないだろうか? アナログだからこそ人間なんじゃないだろうか? ――そんなくだらないことを俺は思う
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