支配と信頼のお話『証明者クシロ編』

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「しかし…よくもうまく丸め込んだもんだな。奴らも奴らだが。」 未開の地と二大国の連合軍が進軍をはじめてから半時。 ガランスがバロンに話し掛けました。 昨日の敵は今日の友。 バロンは答えます。 「騙してるよーに見えるけど、実際は違うからな。あいつの言っている事に嘘は無えし。 本音の言葉を最大限に活かせる場を作ってぶちまけただけ。 だから人がついてくるんだ。わかる?ん?」 バロンが清々しいほどにクシロを語るのを聞いて、ガランスは苦笑いしました。 「あー、うん、わかる。なるほどね。 きっと俺様もそれにやられたんだ。」 戦に向かう道中とは思えぬほどに、その日の空は青く、明るく、曇り無い色をしていました。 気分の悪くなるほどに深い青が全てを見下ろしています。 この世界に起こる全てを記録するかのように、その青い目を見開いて。
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