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街は朱。つまり夕暮れ。
都会にすっかり溶け込んだカラスの群れが、鉄錆にまみれた勝利をうたいながら巣へ還る。
僕は夕暮れの底を歩いていた。
空いっぱいに夕焼けが広がった次の日は、雨なんだっけ、晴れだっけ。
ああ、太陽が眩しい。
ここは首都東京の郊外。
おんなじ型で造られた家がずらりと並んだ、いわゆるベッドタウン。
今では人も家も老朽化が進んで、街まるごとがちょっとしたおにもつ。
斜陽の街に沈む太陽。歩く僕。
頭の隅に既視感。
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