明日の世界

2/4
前へ
/4ページ
次へ
  街は朱。つまり夕暮れ。 都会にすっかり溶け込んだカラスの群れが、鉄錆にまみれた勝利をうたいながら巣へ還る。 僕は夕暮れの底を歩いていた。 空いっぱいに夕焼けが広がった次の日は、雨なんだっけ、晴れだっけ。 ああ、太陽が眩しい。 ここは首都東京の郊外。 おんなじ型で造られた家がずらりと並んだ、いわゆるベッドタウン。 今では人も家も老朽化が進んで、街まるごとがちょっとしたおにもつ。 斜陽の街に沈む太陽。歩く僕。 頭の隅に既視感。  
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加