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空は憎たらしいほど快晴で、僕は小さくほっと息をつきながら傷口を舐める。痺れたようにズキズキ皮がひきつる、それでも晴れているだけありがたいと思う。雨が降っていたら傷口が泥で汚れて化膿してしまうから。
僕に家族はいない、顔も覚えていないし温もりとかいうものも知らない。物心つくころには独りで、生きることに必至だった。
パンを盗んで捕まって入れられた子寺院は威張った教師と力に物言わす奴等ばかりで、身体の小さな僕はいい玩具だった。
少年はおよそ幸福を知らない。
だからこそ僕は…
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