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「う…うぅ…痛った~…」
誘宵は頭を押さえながら鉛のように重くなった体にムチを打って起き上がった。
視界からは十羽と魔王の壮絶な戦いが繰り広げられていた。
(そうだ…!今まで魔王と戦ってて…何ぶっ倒れてんのよあたし!)
歯を食いしばって痛みを懸命に堪えながら呪文を唱えようとするが上手く出来ない。
(どうやら…魔力…切れちゃったのかな…)
「うがっあっ!…ぶはぁ!」
無理に呪文を発動しようとした代償に体が傷つき口から真っ赤な鮮血が飛び散った。
その様子に気づいたのか「誘宵!!お前は休んでろ!!俺なら大丈夫だから!!」
と言いながらダークパレスの天井にまで届きそうな巨体の魔王に向かって剣を振るう十羽。
「てめぇはここでくたばってろぉぉぉぉぉぉ!!」
次の瞬間、十羽の体がムチのようにしなったかと思うと、人間離れしたジャンプ力で魔王の頭まで飛び上がった。そしてそのまま額に目掛けて剣をぶん投げる。
グサッ
「ひぃぃぃぃぃぎゃぁぁぁぁぁあぁあああぁあぁぁ!!!!」
断末魔の叫びと共にその巨体が一気に崩れ落ちる。
「誘宵!!潤夜とイヴ担いで脱出するぞ!!もうじきここも崩れる!!」
十羽はすかさず誘宵達の元へ駆け寄り、十羽はイヴを、誘宵は潤夜を担いでダークパレスの出口に剥けて駆け出して行った。
「まだだ…まだ…終わっとらんぞ!…」
ダークパレスが瓦礫の山とかすまで、それほど時間はかからなかった。
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