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「はぁ…はぁ…っはぁ…はぁ…」
二人の吐く息の音とダークパレスの崩れる音だけが野に響く。
ダークパレスは「ありがとうございました!また来てね☆」とご機嫌よく挨拶するベルガルドのカジノに居たバニーみたいにお辞儀をした後のように一礼したかと思うとドドド…と音をたてて崩れ落ちた。
「誰が二度と来るか…こんなとこ。」
「何か言った?」
「いいや、独り言。」
「そっか…やっと終わったん…だよね?」
誘宵が半泣きになりながら尋ねる。
「あぁ…全て…終わったんだ…。」
何処かまだ実感が湧かなかったが何か清々しさが体を包み込んでいた。
誘宵はイヴと潤夜の手当てをしていた。相当傷が深く、イヴの方一部の臓器が飛び出していた。この状態で生きているのは奇跡と言えるだろう。
「血肉よ…傷を塞げ…ベホマ!」
誘宵はそれぞれに呪文を唱えるとしばらくボーッと地平線を眺めていた。
何もない、ただ荒涼とした大地が延々と続いている。枯木が数本見えるかどうかといったところだった。如何にもという場所である。実際のところ[魔王]はいたのだが。
突如どす黒い光がダークパレスの瓦礫の山から飛び出したかと思うと一直線にこちらに向かってきた。
「何だあれ?」
十羽は魔王との激闘が終わって気が抜けていたのか全く警戒心を見せることはなかった。
「十羽!!」
叫んだ時には既にその光は十羽の胸の中に吸い込まれていった。
「うわぁぁぁぁああぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁ!!!」
悲鳴をあげ十羽はそのまま意識を失った。
「まだ…終わっとらんわ…ククク…」
十羽の頭の中に魔王の声が響いた。
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