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----------  千の骸を積み重ね、夜はまた始まった。その事実を確認するように赤く染まった満月を見てから、棗(なつめ)は笑みを浮かべ振り返った。 「燐ちゃん、また僕達の出番みたいだ」  燐ちゃん、と呼ばれた肉塊は、まともな返事も返せず、こひゅーこひゅーと呼吸音を漏らすだけだ。  顔面も潰され、かろうじて脳とその周りの骨、喉と背骨のみが残っている。四肢や内臓に至っては切り刻まれていないところを見付けるのが難しかった。
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