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真っ暗な夜空に一本の白い線が描かれる。白い煙でできたその線は、描かれすぐ闇に溶けて消えてしまう。しかし、それはただ消えるのではなく、去り際にその先端-雲に最も近い部分-から無数の光を散りばめる。光は赤や青、黄色や緑など、様々な色に変化しながら空を縦横無尽に駆け巡る。
打ち上げ花火。その無数の光が散りばめられると同時に、少年たちは口々に歓声をあげる。『わー!』とか『すげー!』とか人それぞれ、言葉こそ違うがそれらはすべてこの花火に向けられたものであることには違いないだろう。
そして、この物語の主人公……俺、矢崎守(ヤサキマモル)もその中の一人であった。
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