一章、空から落ちてきた少女

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ここは、俺たちの通う学校の裏山。普通これだけ盛大に花火を打ち上げれば近所から苦情の一つや二つ来ても可笑しくはないのだが、そこはご心配なく。ここ、俺たちの通う学校の周りには民家がほとんど無く、花火を打ち上げてもさほど迷惑にはならないのである。 何気ない、ごく普通の友達同士での集まり。夏休みの思い出に刻まれるであろう楽しい時間。しかしそれは、俺の日常を変えるある事件の切欠ともなるのであった。        * 七月二六日、夏休みが始まって三日目の夜。俺のもとに一通のメールが届く。 差出人は俺のよく知る友達だった。メールの内容もごく普通に、『これから花火やるから矢崎も来ないか?集合場所は学校』というものだった。特に用事の無かった俺はこの誘いに乗ってみる事にした。 時間通りに集合場所に到着し、予定通り花火は始まった。このままいけば順調に夏休みの楽しい思い出が作れるはずだった。はずだった……のだが……、
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