一章、空から落ちてきた少女

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バン! と、打ち上がった最後の花火が夜空に消える。 花火の打ち上げが終わると、周りを覆っていた歓声や熱気が一気に静まり返り何ともいえない虚無感のみが押し寄せてくる。 名残惜しいが、さて帰るか……と、一人帰宅の準備を進める俺。 すると、何を思ったのかメンバーの内の一人が突然、『肝試しやろうぜ、夏といえばやっぱり肝試しだろ!』などと言い出した。 嘘だろ……、なんでこのタイミングで!? 俺は何か、苦いものを噛み潰したような顔をする。 花火だけというから参加したのに……。 俺、矢崎守は怖い物が大の苦手なのだ。そして俺には、これから自分にとって何か良からぬ事が起こるのではないかという……いわゆる『嫌な予感』がしてならなかった。 やめてくれ、考え直してくれ! 俺は心の中で何度も叫んだが、結局その想いが届くことはなかった。
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