始まりは突然に

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「眩し……」 僕はベッドから起き上がり、カーテンを開けた。 今日の天気はこのぶんじゃずっと晴だろう。 窓を開けると、気持ちの良い風が吹いてきた。気分は最高だ。 こんな時はつい歌いたくなってしまう。 ♪「朝日が照らしている   綺麗な緑に   今日も僕は歌うよ   空に届くように」 歌ってすごいと思うよ? だって、思ったことを素直に伝えられるんだもん。 そんなことを思いながら気持ち良く歌っていると、下の方から怒鳴り声が聞こえてきた。 「蓮(レン)!!歌なんかもういいからさっさと降りて来なさ~い!!」 僕がゆっくりと視線を下に向けると、そこには幼馴染である 歩乃(ホノ) がいた。 歩乃とは毎朝一緒に学校に通っていて、いつも迎えに来てくれる。 「れ~ん~!!聞こえてるの?」 「あ……うん。………すぐ……行く…」 しまったな。 どうやら寝坊してしまったらしい。 僕は窓を閉めると、さっさと身仕度をして外へ出た。 「…………お待たせ」 そう一言いうと、歩乃はビシッと人指し指を僕に向けた。 いきなりだったので、驚いてその指を凝視する僕。 「あ・さ・ご・は・ん」 そう言って顔を覗きこんでくる。 「食べてないでしょ!」 コクリと頷くと、歩乃は大袈裟にため息を吐き、コンビニのビニール袋を差し出してきた。 それを受け取って中を見ると、おにぎりとかパンが幾つか入っていた。 「あげるから、授業始まる前に食べなさいよ?」 まるで母親の様な言動に、僕は思わず微笑んだ。 「ありがと」 「よし。ちゃんとお礼言えたわね」 そう言って頭を撫でてくる歩乃。 僕はムスッとして歩乃を見上げた。 「子供扱いするな」 僕が言ってもあまり迫力が無いらしく、はいはいと適当にあしらわれた。 そうやって、今日もまたいつもの様に登校する。 学校までは20分程度で着くから、別に急ぐ必要も無い。 今日も歩乃はマシンガントークを披露し、僕は適当に相槌をうつ。 これはクラスでも同じなので、周りからはコンビ的に思われてたりする。 そんなことは僕も歩乃も気にしないから、変えようとも思わないし、変えたいとも思わない。 僕らは普通にしているだけだから。
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