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「ごめんな。俺もわからないんだ。」
正直に言うしかないだろう。
変に期待させてどうする。
「そうです、よね…」
案の定、さっきまでの勢いを無くしてうな垂れる。
やはり可愛―…
「いぃいってえぇぇ!!」
肩に激痛。
もしかしなくてもヘビ蔵の仕業だ。
「何しやがる!このクソロリ爬虫類!」
口では強気だがマジで痛い。
こいつ本気で噛みやがった!
「テメェ、ウルを悲しませたら許さねぇぞ!」
理不尽だ。
なんて奴だ。
ウルの為にも嘘をつくべきじゃないだろうと思ったのだが。
「じゃあ嘘をつけって言うのかよ?」
ウルを溺愛している様子のヘビに、ウル前でこの質問はズルいだろう。
完全に言い伏せたと思った直後―…
「黙れクソガキ!!」
本日二度目の火炎放射に備えた瞬間、ヘビ蔵の首をウルが鷲掴みにする。
「もう!すぐ人につっかからないで下さい~!」
首を両手でギュッと握られたままピクピクしているヘビ蔵は口が空いたまま閉じようとしない。
―…凄く苦しそうだ。
ヘビ蔵安らかに。
「ごめんなさい、アスさん。」
ペコリと丁寧に頭を下げてくれるウルだが、俺はそんな事よりウルの右手に握られたヘビ蔵の口から泡が出始めている事に気付いた。
「いいよ、気にしないで。そんな事より―…」
俺の目線に気付いたウルがハッとしてヘビ蔵から手を離すと、力を無くしたヘビ蔵が地面にベタッと落ちた。
残酷なり。
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