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「・・・」
丸焦げは回避したものの、長い間、旅を共にしたローブは原形を留められず、ヘビが炎を吐き終えると同時に、チリチリと切ない音を奏でながら地に落ちた。
「ヘビ蔵やりすぎだよ・・・」
キマイラの女の子は蛇を優しく叱っている。
なるほど。
キマイラだもんな。
頭が獅子、体が山羊、尻尾が蛇って事ね・・・
女の子は蛇に もう人に攻撃しちゃ駄目だよ、と釘を刺して俺に向き合った。
「ヘビ蔵が乱暴してごめんなさい!
助けてくれてありがとうございます。私はキマイラの亜人でウルドって言います!ヘビ蔵はウルって呼んでるのでウルって呼んでください」
にこーっと可愛らしく笑って頭をペコリと下げた。
「いえいえ、よろしくね。
こっちもウルちゃんに用があったんでね。俺はアエネアス、アスって呼んでよ」
俺も笑顔で返すと
ウルはニコーっと笑みを返してくれた。
この子はきっといい子だな、なんてホンワカしていると
「聞きたい事って何だよ」
それまで黙っていたヘビ、もとい、ヘビ蔵が不機嫌そうな声で問いかけてきた。
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