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「……何やってんだ?」 レミーが目の前に広がる光景に問いかけた。 拳を振り下ろしたフェイトはパドックを睨みつけ。 パドックは鼻を押さえ転がっている。 そして、そんな光景をみてケイトは笑っていた。 「よしっ!!」 フェイトが何かに納得したかのように満足そうな顔をした。 「……何が良しなんだ?」 「ふぇ?」 「今、貶されたのは俺だぞ」 「うん。知ってる、何言ってるのレミー?」 「お前こそ何言ってるんだ?」 フェイトとレミーが問答を繰り返すが、互いに互いを理解できてないようだ。 フェイトは不思議そうな顔をし、レミーは訝しげな顔をしていた。 「だから、言われたのは俺のことだ」 「うん、知ってるってば」 「だったら、何でお前が怒るんだよ!!」 「はぁ? レミーのこと言われたから怒ったんだろ!!」 フェイトの顔は真剣だった。 だからこそ、彼が何を言いたいのか。何故こんな行動をしたかもレミーには伝わった。 「レミー、解ったろ?」 ケイトがレミーに話しかける。 「コイツは馬鹿だから、周りの考えや偏見とか関係無いんだよ。つまり……」 ケイトがパドック、デリル、そして多くの援軍を見渡してから、 「こんだけの人数を敵に回してでも、お前の味方って訳だ」 ケイトが笑ってそう言った。 そして、そのことはレミーにも解った。 普通はこんだけの敵がいれば、黙っているか大衆の意見に流され自分の敵となる。 レミーが今まで見てきた者達は大多数がそうだった。 そんな者に自分のことなど理解出来るはずが無い 歩みよったところで、どうせ周りに流され敵になる どうせ傷つくなら、最初から何も求めない そうすれば傷つかない だが、今自分の考えを破壊する者が現れた。 唯一、心を許せる幼馴染では無い。 つい先日初めて会った男が彼の壁を粉々に壊したのだ。
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