473人が本棚に入れています
本棚に追加
ケイトが駆けて、ユーリに向かって行く。
しかし、ここで今までとは違う展開が起きた。
先程までは距離を保ちながら攻撃していたユーリが動かない。
集中し詠唱を行う。
そんなことも気にも留めず、ケイトは突っ込む。
距離はスグに詰まり、ケイトが太刀を振りかぶる。
――決める
ケイトもユーリが何かしらの魔法の詠唱を行っていることは気づいていた。
しかし、先手必勝。
彼の魔法が発動する前に、倒す。
後手に回れば不利でしか無いケイトは、攻めるしか無かったのだ。
そして、ケイトの刃がユーリを襲う。
だが……
速かったのはユーリだった。
ケイトの太刀が高い音を立てて止まる。
「これは……氷の壁?」
ケイトの攻撃を止めたのは、またしても氷の壁だった。
ユーリの前左右を護るように、三枚の分厚い氷の壁が現れたのだ。
「こんなもの、壊して――!!」
ケイトが先程と同じように力強く太刀を振るう。
しかし……
壊れない
氷の壁は表面に傷がつくだけで、壊れずケイトの太刀を弾き返す。
そこで気づく、この氷の壁は先程までのものと全く違うと……
何が違うのかは解らない。
だが、実際に先程は壊すことが出来た氷の壁に刃が立たない。
「くそっ、何だコレ!!」
ケイトが一歩下がり、息を整える。
すると、
「残念」
氷も壁の向こうから、ユーリの言葉が聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!