激突

25/42
前へ
/248ページ
次へ
「野郎っ!! だったら……」 ケイトは両足に力を籠め、上に跳ぶ。 氷の壁は無限に空へ続いている訳では無い。 ならば、氷の壁を飛び越えてしまえば良いと考えた。 「!!!?」 ケイトが空からユーリの姿を捉えると、彼は準備万端と言わんばかりに右手をケイトの方へと翳している。 既にロックオンされていた。 「ですよねー」 ケイトは思わず苦笑いを浮かべる。 そして、瞬時に跳んでくる氷の弾丸と棘。 簡単にケイトは打ち落とされ、地面に叩き落とされた。 「ぐはっ!!」 跳んだ高さの分に比例する衝撃が彼を貫く。 負ったダメージは心配するほどでは無いが、空からの進入は不可能に近いことは思い知らされた。 「ん?」 ゆっくりと腰を上げる、ケイトは氷の壁の向こう側から発せられる違和感に気づいた。 何かが来る。 咄嗟に構える。 壁の向こうから襲って来たのは、地を走る氷だった。 その氷の魔法は二つが互いに蛇行し交差し左右からケイトを襲う。 「ちっ!!」 舌打ちと同時にケイトは向かって氷に対して太刀を振り下ろす。 地面が抉れ、衝撃波が氷の魔法を打ち消す。 ――はずだった。 しかし、実際は走る氷の一つは衝撃波で消えたものの、もう一つは違う。 衝撃波に消される前に九十度で曲がり、衝撃波を避けケイトの後方へと回り込み、彼の右脚を捉えた。 「ぐっ!! 操作してやがったのか!!」 ケイトの言う通り、二つの魔法は同時に放たれたものの単純な攻撃魔法では無かった。 一つは単純にケイトを襲う魔法、もう一つはユーリが操作していた魔法だ。 だからこそ、操作されていた氷は急激な軌道を可能にしたのだ。 「げっ……マジかよ?」 ケイトは思わず言葉が漏れる。 魔法を受けた右脚は地面を繋ぐように凍り付いていた。
/248ページ

最初のコメントを投稿しよう!

473人が本棚に入れています
本棚に追加