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「間違ってるて……何が?」
ユーリの声が聞こえる。
その言葉には僅かだが、怒りが入っているような気がした。
「全部だ。お前、『強い』って意味解るか?」
「…………」
「正直、俺も明確に説明しろって言われたら難しいんだけどさ……意味も無く、目的も無く相手を叩きのめすような奴を『強い』って言われても違う気がしないか?」
ケイトは尋ねる。
ユーリは答えないが、自分のことを言われていることは伝わっていた。
「けど、アイツ……フェイトは、自分が怪我しても命が危なくても護りたいものを護るんだよ。更に、お前にボロボロにされたってのに、目覚ましたアイツが何て言ったか知ってるか?」
ユーリは黙っている。
ケイトは続ける。
「お前を止めてくれってさ……考えられるか? 自分の命を奪いそうになった相手の心配だよ。アイツは本当に馬鹿だけどさ……自分の全てを懸けて護るもの護って、間違ってるものを正そうとする――そんな奴を『強い』って言うんだと、俺は思う」
ケイトは太刀を両手で握る。
そして、持ち手部分を目の高さまで持ち上げる。
「そんな奴が、俺の親友が、お前を止めてくれって頼んでだよ。俺はそれに応えなきゃいけねぇんだ……だから、負けられない!!」
ケイトは氷の壁に対して左脚を前に、右脚を後ろに向け軽く腰を落とす。
身体は横を向き、狙い澄ました太刀が進行方向を示すように峰を地に、刃を天に向け真っ直ぐに持たれる。
「行くぞ!!」
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