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「立ち上がったのは驚いたが、また同じ展開になるだけだぞ」
「……あの構えは」
「へっ? レミーどないしたん?」
三人が各々の反応を見せる中、レミーはケイトの構えに覚えがあった。
「……ケイトの攻撃は全ての破壊力が高い。言わば全てが技みたいなもんだ」
「そら、解るよ。見てた分には恐ろしいぐらいの破壊力や」
「……そんな攻撃の中、唯一アイツが『技』とした攻撃があの構えから放たれるんだ」
ケイトは目を瞑り、意識を集中させる。
そして、型を保ったまま可能な限り『脱力』を行う。
「技?」
「……滅多に使わないがな」
「例え、そうだとしても……あの氷の壁を壊すほどの破壊力があるのか?」
脱力、脱力、脱力
極限まで力を抜き、意識は太刀の切っ先へと集中させる。
身体が地面に溶け、太刀だけが宙に浮く。
そして、意識は自身すらも太刀と一体化させる。
「……グングニル」
「えっ?」
「……それが、今から放たれる『技』の名前です」
「偉い大層な名前やけど、凄いんか?」
「……あぁ。狙ったモノは、必ず貫く」
レミーがそう言った瞬間だった。
ケイトの目が開いた。
極限まで力を抜いた身体に爆発的に一瞬で力を注ぎ込む。
と、同時に駆け出した。
先ず両脚に注ぎ籠められた力は驚異的なダッシュ力を生み出し、一直線に氷の壁に向かって突進する。
次に、注ぎ籠められた力は両腕へと移行する。
氷の壁との距離が詰まり、ケイトは太刀を突き出す。
全ての力を太刀に注ぎ込む。
爆発的な突進力と、インパクトの瞬間に全ての力が掛け合わされた威力は絶大だった。
太刀からケイトの身体を含め『一つの槍』と化す。
そして、太刀の切っ先が氷の壁に触れた。
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