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氷の壁は粉々に砕け散った。
「!!!!」
そして、次の瞬間ユーリにとって予想外の出来事が起きた。
それは氷の壁が砕けたことではない。
減速しないのだ
氷の壁は、もしかしたら破壊される危惧はしていた。
しかし、だとしても氷の壁を破壊されてから距離を取れば良いと考えていた。
しかし、実際は違う。
ケイトの突進は氷の壁を破壊し、減速することなくユーリに突っ込んで来た。
予想外の出来事にケイトの驚愕の突進に彼は対応出来なかった。
そして――
「うぉぉぉぉぉっ!!」
「ぐっ!!」
氷の壁を砕いた突きは、威力そのままにユーリの右肩を貫いた。
更に突進したまま進み、ある程度進んだところでケイトは両脚でブレーキをかける。
靴底をすり減らしながら、スピードは減速し止る。
標的であったユーリは急な減速に対応出来ず、慣性のままに吹き飛ばされた。
地面をバウンドしながら数回転して、ケイトから離れたところで止まった。
ケイトが太刀を構えたまま、息を激しく切らしながら標的を鋭い眼光で睨んでいた。
「……決着です」
レミーの声が静かに響いた。
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