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その後の戦いは壮絶であった。
ユーリは魔力を全開し、攻撃を放つ。
ケイトも斬撃、打撃と繰り返す。
互いに防御は無く、ノーガードでの打ち合いだった。
唯一、ユーリはケイトの太刀だけは避けることに専念した。
打撃はダメージがあれど、耐えられる。
しかし、斬撃は破壊力及び今以上の出血をすることは彼にとって敗北を意味した。
切っ先が肌を掠めることはあっても、直撃は避けていた。
「勝てる!! このままいけば、ケイトは勝てるやろ!!」
興奮気味に語ったのは九頭だ。
残りの二人は黙っているが、彼と同意見だった。
ユーリが太刀に注意を払っているのは解るが、ケイトの打撃を受けすぎている。
その度に、彼の動きが鈍くなる。今は避けれている太刀も、いずれは――
そして、一方……
「しかし、何でユーリの攻撃は……」
「ケイトからのダメージも大きいが、扱いきれないんだろう」
九頭の言葉に続いたのは、ロキだった。
彼の言ったことは正しかった。
魔力は先程より増してはいるが、ユーリの魔法の威力は減衰していた。
開放された魔力を、得意としている氷に変え、ただ単にぶつける。
先程までの魔力を自在に操り、高度な魔法を放っていたのとは違う。今、放たれているユーリの攻撃は多少の威力はあるものの魔法とは言える攻撃ではなかった。
理由はロキの言う通り、ケイトからのダメージも大きく開放した魔力を扱いきれることが出来なかったのだ。
「……これならば問題は無い。ケイトの勝ちは揺るがない」
レミーは拳を握りながら見守っていた。
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