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立ち上がったケイトは口から血を流し、脚は振るえ太刀を支えにしないと立っていられないような状況だった。
受けたダメージは大きかったのだ。
ロキの説明を聞いた限りでは、ユーリの攻撃力が高いのと同時にケイトは攻撃の最中にそれを受けた。
つまり、カウンターだったのだ。
いくら丈夫なケイトでも、先程のように強がりを言う余裕も無いのだ。
「立ち上がったことには、もう驚かへんけど……」
「……ダメージは大きい。互いに余裕は無い」
「どちらにしても、もう次が最後だ」
三人の会話通り、二人にもう余裕は無かった。
対するユーリも、ケイトが立ち上がったことに対しては驚いた様子は無く落ち着いていた。
右肩には激痛を感じながらも、気持ちだけは緩めてはいない。
次で最後だ。
ユーリはケイトを見据えながらユーリは徐々に魔力を開放していく。
単純な魔法は通じない。ケイトを倒すには――
さっきの攻撃だ。感覚は覚えているし放つことには問題は無い。
無意識に成功した攻撃とは言え、ユーリは一度使った攻撃の感覚を覚えていた。
彼の才能を持ってすれば、再び同じ攻撃を放つことは難しいことでは無い。
しかし、一つだけ懸念していることがあった。
そのことをユーリに伝えるかのように、右肩の痛みは激しさを増す。
次、放てば反動で右腕は使えなくなるかもな
痛みを感じながらユーリは、そう思った。
だが、それでも彼は攻撃の方法を変えようとは思わない。
理由は一つ。
例え、腕一本失おうともアイツに勝てるなら、それで良い
ユーリは全ての魔力を全開にする。
それに呼応するようにケイトが顔を上げ、ユーリ鋭い眼光を向けた。
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