決着。そして……

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駆け出したのは同時だった。 「うぉぉぉぉ!!」 「がぁぁぁぁ!!」 離れていた二人の距離が詰まる。 先手はユーリだった。 走りながら氷の塊を放つ。とはいえ、全開に開放された魔力はやはり使いこなせず威力は乏しいものだった。 ケイトは太刀を振り回し、氷を砕く。 振り回す度に身体は軋み、激痛が走る。 一見、何も変わらないように見えるが本人の感覚は違った。 身体の動きが鈍い 確実に先程のダメージが残っていることを改めた理解した。 しかし、そんなことを言い訳に進むのを止めるわけにはいかない。 力を振り絞り前進を続ける。 互いの距離が詰まり、ケイトの攻撃も届く距離となった。 「うおぉぉぉっ!!」 ケイトが太刀を横に振るう。 ユーリがそれを下にしゃがんで避ける。 それに察したケイトが右脚で顔面を蹴り上げた。 「!!!!」 ケイトが蹴り上げた右脚に激痛を感じた。 見るとユーリの右手には尖った氷が握られている。 どうやら、蹴られた瞬間に突き刺したのだ。 互いに一歩も引かぬ攻防だが、両者共に解っていることがある。 あの太刀には あの魔力の放出には 気をつけなければならない。 互いに互いの決め手を理解しながら戦う。 しかし、身体、体力ともに限界に近い。 二人は意を決して距離を詰めた。
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