473人が本棚に入れています
本棚に追加
ケイトが最後の力を振り絞り、攻撃を畳み掛ける。
太刀を縦横に振り回し、打撃も合間に入れる。
対する、ユーリは避けることに徹していた。
それには理由があった。
先程の立会いで受けたケイトの打撃は確実に劣っていた。
どうやら、自分の放った攻撃は相当効いているようだ。
自分の負っているダメージも大きいが集中力が高まっているせいか、まだ耐えることが出来る。
長期戦になればケイトの方が不利だった。
ケイトもそれは解っていた。
そのことが焦りを生んだ。自然と攻撃が大降りになる。
ユーリは容易く避け続ける。
そして、『あの一撃』を入れる準備を整えていた。
マズい……
攻撃を振り回しながら、息が切れ始めたのをケイトは感じていた。
そして、このままでは攻撃が当たらないと察した彼は――
まず放ったのは横一文字
無論ユーリは太刀を掻い潜り、避ける。
続けケイトが放つのは蹴り上げ、これは先程から何度も見せていたパターンだった。
ユーリも察して両腕を前で交差させガードの準備をする。
しかし、
「!!!!」
ここでケイトは一つの変化を加えた。
蹴りをフェイントとして『止めた』のだ。
本来、蹴りを放つ右脚を止め、左脚を一歩引く。
二人の間に僅かに距離が開いた。
そして、多少体勢を崩したまま太刀を下から上への切り上げを放つ。
決める!!
そう思って太刀を持つ手に力を籠める。
「!!!!」
そこで違和感に気づいた。
本来ガードに徹しているユーリが、それを解き攻撃に転じようとしているのだ。
ユーリはケイトの考えを読んでいたのだ。
余りにもワンパターンの攻撃を、このタイミングで放つ意味を理解していたのだ。
この体勢からはケイトは切り上げしか攻撃を放てない。
ならば、攻撃の軌道も避けてカウンターを入れるのも容易い。
ユーリの右手に全ての魔力が集まった。
最初のコメントを投稿しよう!