決着。そして……

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これで決まる―― 攻撃を放つケイトに合わせて、ユーリが一歩踏み込む。 しかし、その時に異音が響いた。 何かが地面を削る音 その正体は一瞬で解った。 その音はケイトの足元から聞こえ、同時に赤い火花散っているのが視界に入ったのだ。 それは、ケイトの瞬時の判断だった。 ユーリが自分のフェイントに気づいた瞬間、切り上げを放った太刀を無理矢理地面に触れさせたのだ。 太刀は慣性を保ちながらも、地面を削り速度を緩め……止まった。 「くっ!!」 このことはカウンターを狙ったユーリの予想に反したが、彼は考えを即座に切替えた。 カウンターでなくても、この攻撃を叩き込めば勝てる カウンターは確実な勝利への道でしか無い。 多少、道は違えど攻撃を当てれば勝利は確定に近づく。 そう考えを切替えたユーリは止まったケイトとの距離を詰める為に、更に一歩近づき、手を伸ばす。 ユーリの全ての魔力を籠めた右手がケイトに近づく。 この攻撃を放てば、自分の腕は吹き飛ぶかもしれない―― それでも、コイツに勝てるなら―― 伸ばした手は確実にケイトに近づく。 まるで、スローのように感じるほどに 距離が 時間が 速度が もどかしく感じた。 勝負を決する右手が届く、その時―― 掌に何かが触れた。 それを、きっかけにユーリが魔力を放つ。 しかし、 「えっ!?」 ユーリは視界に入った光景に驚いた。 掌が触れたのはケイトの身体では無かった。 ケイトの『左拳』だった。 一度解き放たれた魔力を止める力はユーリには無かった。 大きく激しい破裂音が響いた。
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