決着。そして……

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地面に座り込むケイトにレミーがゆっくりと近づいた。 ケイトは息を無理矢理に整え、レミーの顔を見ると、 「勝ったぞ」 そう言ってみせた。 それに対してレミーは少しだけ口元を緩め、 「……満身創痍だがな」 と返す。 「確かに」 その言葉にケイトも笑って見せた。 「……身体は大丈夫か?」 「左手が全く動かない」 「……無茶するからだ」 そう言ってレミーはケイトの左手を見る。 指は本来曲がらない方向へと、あちらこちらへと向いており、出血も激しい。 「……立てるか?」 「無理。肩貸してくれ」 レミーの力を借りてケイトが立ち上がる。 そのときにケイトは倒れているユーリを見た。 「……強敵だったな」 「あぁ。特に吹っ切れてからはヤバかった」 「……生きてるのか?」 「当たり前だ、殺しちゃいないっての。それに最後……」 ケイトは最後に斬りかかったときのことを思い出す。 あのときユーリは僅かに後方へと跳んだのだ。 それは彼が負けると解っていながらも、勝負を最後まで諦めない気持ちが自然とそうさせたのだろう。 クリーンヒットでは無かったにしろ、ユーリは受けたダメージには耐えることは出来ずに倒れた。 「おーい、九頭と先輩!! こいつ担いでくれないか?」 呆然と立っている二人にケイトが叫ぶ。 それに反応し九頭とロキも倒れているユーリの方へと歩きだした。 「なぁ、先輩」 「ん?」 「この結果を予想出来ましたか?」 駆け寄りながら九頭はロキに尋ねた。 ロキは少し考え、 「結果も内容も予想外過ぎたよ」 そう言って彼は笑う。 二人は意識の無いユーリを担ぎ、皆揃って医務棟の方へと歩き始めた。
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