入学式

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「学園長からの挨拶です、皆様御起立願います」 そのアナウンスが響くと、皆が一斉に立ち上がる。 そして、前方の壇上に一人の人物が上がった。 ヴェスク・クラウディア LCアカデミーの現学園長だ。 純白のローブに身を包み、右手には碧い石が付いた杖を持っている。 白髪が肩まで伸びており、口元にも同色の髭がある。 彼はLCアカデミーの三代目の学園長である。 初代は彼の祖父 二代目は父 と、親から子へとクラウディア一族が引き継ぐ形になっている。 しかし、ただ家族だからという理由ではLCアカデミーの学園長にはなれない。 学園長になった者達は全員が魔法研究の最高権威だったり、様々な肩書きがあり、それに担う実力があるのだ。 「ふぉぉぉ、学園長だぁぁぁーー」 非常に小声ではあるがフェイトは喜びの声を出した。 フェイトが学園長を見るのは、これで三回目だ。 一つは、現在。 一つは、入学試験のとき。 最後は、非常に遠い記憶の向こう。 相手は覚えていないだろうが、フェイト自身は、はっきりと覚えている。 その時に与えられた言葉を信じ、憧れ、支えとして今の自分がいるのだから。 「えー、まずは皆さん入学おめでとうございます」 マイクのテストも兼ね学園長は挨拶の言葉を並べた。 「さて、皆様はLCアカデミーの記念すべき百期生となるわけです。とはいえ、何かを意識することはありません。私からすれば学園にいる生徒は全て平等に愛すべき可能性の塊ですから」 そう言うと、少し遠目ながらも学園長が笑ってみせたのが解った。 「皆さんも今は入学したばかりで気分も高揚していることでしょうし、私が長々と話しても疲れるだけでしょう」 その言葉にフェイトは、そんなことは無いと言わんばかり首を振る。 彼の両サイドの人は驚き、迷惑そうだった。 「ですから、私から言いたいことは一つだけ……皆さん、このLCアカデミーでの学園生活を存分に楽しんで下さい。以上です」 学園長はそう言うと、壇上で一礼すると退場する為歩き始めた。 短めの学園長の挨拶に、多少呆気に取られたが周囲の教員達の拍手と入学生達の礼により学園長の挨拶は終了した。
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