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日々の習慣こそが至高の哲学であると心に刻んだジョガーや入手した名刺にほくそ笑むヤッピー、ゴミ箱を漁る浮浪者、性欲を顔にできたニキビ同様に持てあましているティーンエイジャーで溢れるいつもの風景でその事件は起きた。
その時、両親は少しの清涼を求めて、公園の中でも一際大きなくすの木の元で寄り添っていた。
なんの前触れもなかったという。黒い影が目前に現れ、一瞬で去っていった。猛禽類の奇声に似た音があたりを切り裂き微かな硝煙の匂いが立ちこめると同時に両親は無残な姿に変貌した。
数人の目撃者がいたにもかかわらずみな見ぬふりをしていたらしい。その場で通報する人もいなかった。その夜に見まわりしたパークレンジャーが両親の無残な姿に気付くまでその場に放置されていたという。
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