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そんなことを言っていた彼の顔はニヤニヤしていた。誰もいない神社でニヤニヤしてる高校生なんて気持ち悪すぎだろなんて思いながらもつい顔に出てしまう。
そのニヤニヤを自重しながら足を進めるとあたりが急に明るくなった。一週間前と同じ感じの光だ。
当一は光が発せられてる方向に走った。本堂から少し離れた場所にある物置小屋の裏側。小屋の表まで差し掛かった所で足を止めてゴクリとつばを呑んだ。
「このあたりだよな」
恐る恐る小屋の裏側まで行き体を隠しながらそっと覗きこんだ。
木製の倉庫と木々に挟まれた狭い場所で日の光もあまり届かない場所。
そしてそこにいるのは当一のよく知っている人物だった。そう幼馴染みの加奈だ。
普通に立っているなら別に構いやしない。しかし明らかに格好がおかしい。
一週間前にみた姿。あの時はシルエットしか見えなかったが今ははっきり見える。
幼馴染みのコスプレ姿がはっきりと見える。
肩の下まで伸びていた髪はリボンでツインテールになっていてその服装はタートルネックのようなもの上からセーラー服の形をしたものを羽織っている。
肩の部分はパットでも入っているかのようにふっくらとしていた。
スカートは白い修道服のようになっていて所々金属で飾られているブーツを履いている。
そして手には長い斧のような形状の杖を持っている。
加奈の身長とほぼ同じ長さの杖はかなり目立っている。
上から下までじっくり見て結論から言うとあれは魔法少女だ。テレビでやっていた感じに近い。
「あちゃ~。またフィールド張るの忘れちゃった。こんなところ誰かに見られたら自殺ものよねぇ」
加奈はまだそばにいる当一の存在に気づいていないようだ。
もし見つけたら笑ってやろうなんて言ったがいざ見たら笑いすらでないでいる。
加奈にこんな趣味があったとは。とは言っても趣味を否定するわけでもないが、ただ少し見ている自分が恥ずかしく思えてしまう。
「さてと、フィールドはだいたい半径100mくらいで張っとこうかな」
(ってかフィールドってなんだよ。こいつバカなんじゃないのか?)
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