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6月の中ごろ。高校に入学して2ヶ月ほどたってようやくクラスに馴染んできた頃。
1人の少年もクラスに溶け込んで数人の友達と休み時間にワイワイやっている。
「カトウって幼馴染みいるんだろ? たしか三組の……」
華波 当一(カナミ トウイチ)略してカトウ。誰が考えたものか、それが少年のあだ名である。
偏差値は中くらいで全校生徒800人程度のなんてことない普通の公立校に通い、普通に学生生活を送っているどこにでもいる男子高校生。唯一の変わっている事は幼馴染みがいるくらいであろうか。
「加奈の事か? まぁ確かに幼馴染みだけど家が近くで学校も同じなだけだよ」
市宮 加奈(イチミヤ カナ)。当一の幼馴染みで近所に住んでる。幼馴染みではあるが中学に入ってから交流は少なくなり今ではクラスも別である。
「いいよなぁ幼馴染みって。こうぐぐっと来るものがある」
さっきから幼馴染みにしつこく関心を抱いているのはクラスメイトの金城 健治(カネシロ ケンジ)。このクラスで一番最初に仲良くなった奴だ。茶髪にピアスとなんだかヤンキーみたいな格好ではあるが性格は普通の高校生だろう。
なぜ仲良くなったというと『席が近かったから』である。当一が窓際の一番後ろの席で金城がその前。横は女子で話し相手はいなかったからである。
2ヶ月も学生やっていればクラスにもグループ的な集団ができる。当一の場合は窓際を拠点としている。つまりは彼の席周辺で数人が集まって話をしているわけである。
(こいつ加奈に興味あるのか?)
金城の発言に対して当一の表情は冷たい。確かに幼馴染みというのは周りに変な勘違いが生まれるものである。
「お前、加奈が気になるのか?」
「そりゃそうだろ。あんなかわいい子と幼馴染みなんて最高じゃねぇか」
予想外の言葉に当一も驚きの表情を見せる。
もっと焦って『そんなことねぇよ』みたいな感じの返事を期待していた当一にとって率直な意見は対処しきれないでいる。
こんなに正直だとおちょくりがいが無い。当一は少し残念そうに机に頬杖をつく。
「あいつはやめとけ。お前のためにならん」
「あれぇ? もしかして幼馴染みを取られるのが嫌なのか? ヤキモチかぁ? 」
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