1章 幼馴染み

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 その日の放課後。当一はいつもより早く下校することになった。別に理由はないが友達はバイト、塾とかでたまたま遊ぶやつらがいなかっただけ。  友達と一緒に帰るにしても家は山の方で友人たちは下の町に住んでるから帰るのは学校の門まで。  彼の地元は田舎と都会が学校を挟んで別れている。当一の住んでるところは田舎に分類される。小さい頃はよく一緒に帰ったやつらもいたが都市開発とか言って政府のやつらが立ち退きだのと言っていた時期があった。だから周りはみんな町に引っ越していった。  あとこのへんで残っているのは5世帯くらいで当一の家も立ち退きから逃れた。  小学校の頃からこんな感じだから一人で帰るのは慣れてる。  今日も狭い歩道を1人で歩く。車が通ることも少なく建設中の建物や田んぼなどが並んでいる。  ふと見ると見たことあるやつが歩いていた。そう幼馴染みの加奈だ。加奈の家も立ち退きから逃れた。つまり当一と同じで帰るやつはいないわけである。 「おーい加奈ぁ」  20メートル後ろから右手を大きく振って呼んでみる。高校入ってから一緒に帰ったことないなぁなんて思いながら駆け寄っていった。  一緒に帰るのが嫌とかではないが、思春期の男子なら分かってもらえるだろうか。幼馴染みでも男女二人で帰るのは少しばかり抵抗があるのだ。  それに最近加奈のやつ忙しそうなんだよな。いつもそそくさと帰っていきやがる。まぁ別にどうでもいいことなんだけどな。  当一の呼び掛けに気づいたのかピタッと足を止めて振り向いた。肩より長いブロンドの髪がさらりと流れる。加奈の事を知らなかったらその仕草だけでも惚れ込んでしまうほど。あくまで知らなかったらという前提で当一は思うのである。 「なんだ当一かぁ。チッ、何かよう?」  なんだか不機嫌そうな幼馴染みである。 (そんな睨み付けてくる感じで見られると腰が退けてしまうだろ)  などと若干ビビりながらも接近していく。 「別に用事はないけどよぉ。最近のお前なんかそっけないじゃん?どうかしたのかよ」  当一にとって別に興味があるとかじゃあない。ただ幼馴染みとして話を聞いてやってもいいみたいな感じなのだ。 「えっ…別になんにもないし。ってか関係ないし」
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