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コスプレイヤーと出会ってからちょうど一週間がたった。
そんな日の放課後、当一はいつも通り1人で下校していた。
あれから特に変わったことなんてなかったが、あの日の事が頭から離れない。
(変なやつだったが一週間も頭から離れないのはなんだろう? 別にコスプレに興味があるからとかじゃないんだけどな。たぶん…)
そんな事を考えながら歩いていたら前には一週間前と同じ光景があった。
幼馴染みが1人で下校していた。
今日も声をかけてやろうかなぁなんて思いながら近づいて行くと加奈は普段曲がらない道を曲がったのだった。
狭くて誰もいないような路地だ。当一はその路地を覗いてみると加奈は小走りで路地を駆けていった。
「怪しいやつだな。まるでこの前のコスプレイヤーみたいだな……いや、まさかな」
ありえないことだとは分かっている。一瞬でもそんなことを思ってしまった当一は鼻で笑う。
(だって加奈だぜ。いかにも最近の若者みたいなやつがコスプレして町を徘徊なんて…考えられん)
しかし、当一の心の奥には少しばかりの違和感がある。その根源は何なのかは自分でも理解できていないだろう。
有り得ないとは思うが確かめたい。そんなどうでもいい興味で当一はおもむろに路地に入って行った。
「こんな事はしたくないけどな…なんか気になって夜も眠れそうにねぇ」
罪悪感を覚えながらも足は路地の奥に進んでいく。
路地を抜けるとそこには古い神社があった。小さい頃に友達とかくれんぼとかした場所。
今は使われているのかすらわからない神社で草も所々から生えている。
「あれぇどこ行ったんだあいつ」
あたりを見回しても加奈らしき人は見当たらない。というより人っ子一人いない。
当一はふと神社を見て中に入ろうとした。こんなところ学校帰りに立ち寄る場所じゃあないが他に手がかりなんてないしな。
「あいつがここでコスプレとかしてたら爆笑だな。美少女のコスプレは悪くないけど、加奈がやってたら笑っちまうよホント」
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