001.君の死

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あのね 君が死んでも 何も変わらず世界は動くよ 60億分の数人から数十人が 数日から 数ヶ月悲しんで 忘れられて 終わり 苦労して 手に入れたものや 作ったものも 全て消え失せる 或いは 他の誰かのものになる 君が死ぬことで 君に食べられずに 済む動物たちがいて 少しは世の為に なるかもしれない… いや、それすらもない 君が死んだところで 殺される牛が 減る訳でもなく スーパーのお肉は 売れ残ったら 棄てるだけだから 君が死んでも なんの命も救えやしない 何も変わらず世界は動く 君がただ ただいないだけ たったそれだけの存在 ちっぽけなんて言葉じゃ ちっぽけすぎるほど ちっぽけな存在 でもね ひとつだけ 確かなことがある それは 君が死んだら 60億人の中で 一番悲しむのが 僕だ そして 泣いて泣いて 何十年経っても 思い出しては泣いて 一番引きずるのが 僕だ 君の面影を いつまでも追いかけて 君との思い出を いつもまぶたに映して 君のいない世界なんて どうでもいい そう思うはずだ 君は僕の全てだから 君が死んでも 何も変わらず世界は動く でも 僕の全ては変わり 僕の心は動けなくなり 僕の世界は終わる 君が死ぬということは そういうことだ
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