出会いは再会

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「この中で一番強い奴は誰!」 ウエスタン映画によく出てくる小洒落たバー。そこの両開きの扉がバンっと豪快に開き先程の言葉を大声で叫ぶものがいた。 ダイヤだ。先ほどまで浮かべていた不機嫌な表情が嘘だったかのように不適な笑みを浮かべている。俗に言うろくなことを考えていないと言うものだ。 ……兄であるエースに断られた彼女が向かった場所とはこの王都にあるギルド――詳しくは依頼場。盗賊討伐や魔物退治と言った普通の人間では対処出来ない戦闘ごとを請け負う場所。 つまり中にいるのは屈強な体つきをした戦士達で皆武器を所持している。 そんな屈強な体つきをした戦士達は一体誰がそんなふざけたことを言っているのだと思い、皆不機嫌な表情をしながらその扉の方向へと顔を向ける。 でも次の瞬間にはそれは一気に吹き飛び、扉の方向へと向けていた顔は次々に別の方向へと向き豪快に笑い始めた。 何故なら、自分達が顔を向けた先に立っていたのはまだ年端もいかない少女。皆、ただの少女の戯れ言だと思い相手にしようとはしなかった。 「お嬢ちゃん、ここはお嬢ちゃんが来るところじゃないんだよ。早くママのところにでも帰ってお乳でも飲んでな」 ただ、どこの場所に行っても例外と言うものは存在する。 ほとんどの人達が少女であるダイヤを無視まではしないが豪快に笑っている中、あるグループだけは未だ扉の前に立っている彼女のことをニヤニヤと笑いながら近づいてくる。 明らかにダイヤのことを馬鹿にしている。そのことを彼女自身気づいているのかいないかはわからないが自分に近づいてきた男達の顔を見上げる。
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