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「だ、大丈夫ですかトランプさん!」
「あぁ大丈夫だ。いきなりハートが現れてちょっと驚いただけだ」
「そうですか。……ところで、私が作った料理の味はいかがですかか?」
「あぁ、美味いぞ」
「それはよかったです」
「悪いな、朝食までつくってもらったりして」
「いえ、これも秘書としての役目です」
前にハートがトランプに頼み事をしたのは覚えているであろうか?
その時、ハートがトランプに頼み事をした内容と言うのが自分を秘書としてここで働かせてほしいと言うことだ。
また何で貴族の娘であるハートが一般の会社で働きたいと思ったのか? それはハート自身しかわからないことだ。ただ、結果的にはダイヤの社長命令により受付嬢もするはめになったが。
「そうか。……それより、何でハートは怒っているんだ?」
「それは――魔法を悪用したからです」
「悪用を……」
「はい。《魔法は夢を与えるもの、決して私利私欲のために使ってはいけない》。私のお父さんが小さい頃に言っていた言葉で私が一番好きな言葉です」
「……ハートはお父さんのことが好きなんだな」
「はい、自慢の父です」
先ほどの表情とは打って変わり、ハートはとても嬉しそうな表情をする。が、それは時間が経つに連れて徐々に曇り始める。
「ですが私、そんな父とは違い魔法を上手く使うことが出来ません。魔法を使うと必要以上に力が入ってしまい周りを危険に巻き込んでしまいます」
「そう言えば、前に男達に囲まれていたときも威力は凄かったな」
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