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「えっ、何これ! どうやって止めるの!」
広場で暴走する一台のバイク。乗っているのは普通の人間より頑丈に出来ているダイヤ。そしてその暴走するバイクを町の住人達は驚き半分興味半分で見つめていた。
シュウがバイクという乗り物を作ったと言うことはダイヤの手により一日で町中の住民に知られるようになった。だから、このようにして試乗の時に沢山の町の住人がいるのだ。
「……だから俺が試乗するって言っただろ。バイクの乗り方を知らないやつが乗るとああなるんだ」
未だ暴走し続けるバイクを見つめながらシュウは頭を押さえてあきれ返っていた。
実を言うと、最初に試乗する予定だったのはこのバイクの開発主であるシュウであった。まあ当然である。危険など色々の理由で開発者が第一に乗るというのはよくある話だ。
けど、ダイヤのわがままによって彼女が第一に試乗することになった。
普通なら、先ほどの理由で他人に第一試乗をさせるわけはない。しかし、ダイヤなら例え事故っても軽い怪我ぐらいで済むと思いバイクの機能性を見るために試乗させたのだ。ついでに自分勝手なダイヤを懲らしめるため少し痛い目を見せるためでもある。
「スゲー! バイクってあんなにスピードが出るんだ! 機関車と同じくらい速い!」
暴走するバイクを見て誰一人として乗ろうとは思わないこの状況。だが、ただ一人だけダイヤが乗っている姿を見てバイクに乗りたがっていた人物がいた。
それが、開発者であるシュウの隣で見ていたクローバー。目をキラキラとさせてダイヤの姿を見ていた。
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