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「エースが相手になるような奴はこの国にはイチさんくらいしかいない。そんなエースが一人いればことは足りるだろう?」
「確かに、並大抵の相手なら俺とその軍の知り合いさえいればことはたりる。けど、今回ばかりはそうは言ってられない」
「何でだ?」
「……あのカードと《ドラゴン》がその指輪を狙っているからだ」
「ドラゴン?」
カードのことは知っている。今日の新聞に出ていて今世間を騒がしている二人組の窃盗団だと。
しかし、ドラゴンという名前は聞いたことがない。トランプはそれは何だと言いたげな表情でエースのことを見ていた。
「強盗団の名前だ。目的のためなら手段を選ばず、一般人すら手にかけようとする冷酷な集団だ。リーダーの男がドラゴンみたいな皮膚を持っていることからその名前がついた」
「つまり、得体の知れない二グループが狙っているから用心のために俺達にもついてきて欲しいというわけか?」
「あぁ」
「……そういうわけなら俺は依頼を請ける。あと、ダイヤにも――」
「その前に――」
トランプが承諾し、このエースの依頼を請けようとしていた。
だが、依頼を持ち込んできたきたエースが何やら気がかりがあるらしく、いきなり腰に携えていた剣を抜いて剣先をトランプへと向けてきた。
「お前の実力も知っておきたい」
「俺の実力を?」
「そうだ。ダイヤの実力がどのくらいあるのかは知っている――俺の妹だからな。けど、お前の実力はどれだけあるかは知らない。だから、少し手合わせしてお前の実力がどれだけあるのかを確かめたい」
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