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「さて、俺達も行くとするか。ここにいては他の人達の邪魔になる」
「そうね。こんなにも沢山の人がいるところなんてさっさと抜け出したいわ」
先ほども説明した通り彼らが今いる駅の中は沢山の人で混雑している。原因も先ほど説明した通り。今日出展される王家の指輪を見るために世界各国から沢山の人達が来ているからだ。
駅内は人が自由に行動できないほど混みあっている。もしも無理に移動するものであれば、
「イテッ」
「おい、押すなよ!」
「ちょっと! どこ触ってんのよ!」
沢山の人達に迷惑がかかってしまう。
トランプ達はこの混雑した駅から抜け出して町を探索しようとする。けどその前に、彼らもこの駅内の洗礼を受けることになってしまう。流れ行く人にぶつかり、しまいには無理矢理後ろから走ってきた人物に勢いよくぶつかられてしまった。
「悪い兄ちゃん、うちめっちゃ急いでるからホンマ勘弁してな!」
ぶつかった女性は振り向かず、口だけでぶつかったトランプに謝ってすぐに人混みの中へと消えていってしまった。
気のいいトランプは自分にぶつかった女性を追って因縁をつけたりしない。何もなかったかのように改札まで歩いていく。
「トランプ」
だが、それは近くに立っていたシュウによって止められてしまった。彼は何故だかわからないが怒っており珍しく剣幕を帯びた表情でトランプへとさらに詰め寄っていく。
「お前、また悪い癖が出てるぞ」
「いいだろ。俺が何をしようが俺の自由だ」
「確かに何をしようがお前の自由だ。けど、お前のそのやり方は俺は気に入らない。それに、今の相手は金には困ってない。身形がこの国のものではない、明らかに観光客だ」
少し説教と解説をしたあと、シュウはトランプに向かってあるものを渡した。
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