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「あんた! それが初対面であるうちに対する態度なの! こっちが下手に出てるからって調子のった態度を取るなや!」
「……初対面じゃないだろ」
「ハァ?」
「まさか俺が気づかないと思ったのか――スリ?」
シュウがクイーンに対してこのような冷たい態度を取っているのにはわけがある。
それはシュウがこのクイーンが昼間に会ったスリだと直感的で気づいているからだ。
「お前のその声――昼間に会ったスリと瓜二つだ。それで直感した、お前が昼間に俺の仲間の財布を盗ろうとしたスリだとな」
「何意味不明なことを言ってんねん! ただ声が似てるというだけでスリにされとうないわ! そこまで言うのなら証拠を見せなさいよ」
「証拠はない」
「なら――」
「悪いが俺の直感が外れたことは一度もない」
ビシッと、決め台詞みたいに自信満々に言う。当然ながらクイーンがシュウから受ける印象と言うものは変人。これ以上関わるのは色々と危ないと思いそそくさと彼の元から離れていった。
(あいつ、色々と変な奴や。あんな奴とこれ以上関わってたら色んな意味であかんわ。けど……、あのポケットに隠したあれは気になる。まっ、指輪を盗むときに一緒に盗めばいいか)
「……行ったか」
クイーンが自分の元から離れていったのを確認するなりシュウはポケットに戻していたあるものをまた取り出した。
一旦戻したのはクイーンが自分のことを見ていたのに気づいていたから。そのため近づいてきた彼女をあのように気味悪がせるためにあのような変なことを言ったのだ。まぁ、彼が直感を外さないという自信は本物だったが
「……これを見られたら色々とまずいからな」
危機は去った、これでゆっくりとこの綺麗な満月を堪能できる。そう思っているシュウはポケットから取り出したあるもの綺麗な満月へと向けて――。
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