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パリーン。突如として王家の指輪が飾られた部屋の明かりであるランプが一斉に破壊されてしまった。それによって部屋が真っ暗となってしまい何もかも見えなくなってしまった。
部屋に飾られている王家の指輪を含めた展示物、この美術館に来場している客。そして今、衝撃的な真実を話したトランプの表情も……。
その暗闇の中を何人もの人が駆けていく。同時に何人もの人が倒れていく音が響き渡っていく。
倒れていっているのは王家の指輪を護衛している隊員達。彼らは先ほどの光に慣れているから突然の暗闇にされてしまえば目は使い物にならない。
反対にこの停電を起こしたもの達は先に目を閉じて暗闇にならしていたからこの暗闇の中でもいつものように動ける。このような結果は当然のことである。
「……少し調子に乗りすぎだな」
ボソリと、突然のことで他の人達と一緒に戸惑っているハートの耳に先ほどの言葉が届いてくる。すると、先ほどまで暗闇に支配されていた部屋が眩しいほど明るく包まれた。
あまりの眩しさに暗闇に慣れている侵入者達はもちろんのこと、会場にいる客達も目が開けられずそれを直視することが出来ないでいる。
そんな人達の中をすり抜けていく無数の透明間がある緑の物体。それは侵入してきた侵入者達を次々と捕らえていく。
だが、侵入者達の何人かはその物体に捕らえられることはなかった。避けてから何も言わずに自分に話し掛けてきた男のことを見ていた。
「小型な太陽……」
他の人達とほぼ同じタイミングで視力が回復したハート。今彼女が見ているものは隣に立ち侵入者達を自慢の気功で捕らえているトランプではない。現在この美術館の一室を照らしている小型の太陽であった。
先に説明しておくが、今なお美術館の一室を照らしている小型の太陽を出したのはハートではない。
確かに彼女はエルリック家のご令嬢で魔法を操れることは出来る。しかしコントロールは皆無。やろうとすればこの一室は焦げてしまうであろう。
では、誰がこの小さな太陽を出したのであろうか? 正解は――、
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